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トリマーに手入れを頼むということ-2

 

お客様は手入れを自分でやるのは、トリミングのやり方を知ることができても、道具や設備がないからやっぱりきつい仕事になる。それぐらいならば、プロに頼みたいと思っているという話をしました。

一般の飼い主は手入れなど自分でできないから、ペットショップに頼むのだと単純に言ってしまったら、実もフタもないですけれど、もっと掘り下げて考えてみたいのです。

そうすると、お客様はこんなことを考えているし、こういう悩みがあるから、こういうものをお客様にすすめたいという、お客様にもっとアピールする具体的な対策まで結びつくと思うのです。

それと、自分のしている仕事の意味を確認するためにも一度はこういうことを考えてみることも悪くない気がします。

飼い主が自分の犬を子供のようにかわいいと思っているし、今のままで十分かわいいのに、もっとかわいくして欲しいから、プロに頼んでやってもらいたがっている、と考えるトリマーの方や、指導者の方でもそんな考えをしている方がいるんですね。

また、よそと違う一味違うスタイルをすすめることや、自分のオリジナルなスタイリングをするのがよしと考える人もいるようです。そしてそういうものが日本では話題になりやすいです。ビューティフルだし、変わっているし、面白いから。

しかしお客様のもつ悩みや、わんちゃんとの家庭での生活を考慮しないで、つまりお客様がショップに犬を出す理由など考えずにそういうことをしているとしたら、これだけで仕事の方向が私などとはかなり違ってきますね。

飼い主だけでなく周りの人の目も楽しませることは悪いことではないです。しかし、人の注目を集めないと、「わーすごい」と人に言われないと価値なしという考え方は、この仕事の一番大切な部分を見失う気がするのです。

もし、あなたがペットサロンに犬を毎月かそれぐらいの間隔で犬を出すとしたら、うちのかわいい犬をもっとかわいくしてほしいためにお金をおしまず使いますか。自答してみてください。

そのようなお客様がいたら、今の仕事がもっと愉快になるとは思うのですけど、実際はやむにやまれぬ事情があって、なんとかしてほしい、今の苦しい立場から救ってほしいとと思って個人的な理由からお客様はトリマーに仕事を頼むし、そのためには十分お金を払う価値ありと思っている気が、私にはするのです。

飼い主が自分でお手入れできない理由はいくつもあると思うのですけれど、うちのわんちゃんに嫌われたくないから、ショップに出すという方がいますね。私こういうお客様を笑う気にはなれないです。その気持ちよく分るのです。手入れというのは、一般の方にとっては、犬の仕事している者が気づきにくい、時には想像する以上に大変なものという気がするのです。

とりとめもなく手入れができない理由を書いてもなんですから、あとひとつだけ。

もし、一般愛犬家が犬をトリマーに仕事してほしいと思う理由をあなたがリストするとしたら、何を一番にもってきますか。

私が一つ理由をあげるなら、
わんちゃんのお手入れについて」でも書いたように、犬の手入れをすることや犬を飼うことがたいへんなのでなくて、現代人は生きること、生活そのものがたいへんと感じている方が多い気がするのです。

確かに何十年前とは比較にならないぐらい生活が便利になり、楽になってきてますけれど、それに逆比例して考えなければならないことが増えている。やらなければならないことが増えている。果たさなければならない義務や責任も増えている。

そんなもろもろのことで圧倒されそうになって生きている方が多い。生活を楽しむ余裕もままならない。そんな風に感じている方が大多数ではないでしょうか。

愛犬家のそのなんとかしてほしい悩みや苦痛を和らげる仕事がトリマーの仕事である気がするのです。一般の方は生活の重荷から少しでも開放されて、楽にしてほしいと願っているのではないですか。

お手入れに費やさなければならない時間を少なくしてもらい、また、かわいらしく、しかも日常の世話がそんなに要求されないスタイリングをしてもらって、わんちゃんを楽しむだけでなくて、他のより重要なことに時間とエネルギーを振り向けられたらと考えているのではないでしょうか。

愛犬家は犬を愛しているからといっても、朝から晩まで犬のことばかり考えて生活できないのです。あれもしなきゃ、これもしなきゃと犬の手入れよりも優先しなければないことをたくさん抱えて、頭を悩ましている方がほとんどだと思うのです。

このように見てきたら、トリマーの仕事というのは、わんちゃんを美しく仕上げて、見ばえをよくし健康維持するためということはもちろんですけれど、一般愛犬家が心に余裕をもって人間らしい生活をすめためにある、わんちゃんの飼い主の生活の質をほんの少しでも高めるための仕事、そんな風に思えてきませんか。

一般愛犬家は言葉で表すことはないけれど、そのためにはトリマーにお金を払って仕事してもらっても惜しくないと考えるのではないですか。

わんちゃんのスタイリングを考える上でこのことはとても大切なことのように思えるのです。わんちゃんをただ美しくカットすることだけ考えていては、ペットサロンに飼い主が犬を連れてくるもっとも大切な理由を見落としてしまう気がするのです。