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 シュリーマンに学ぶ語学上達のコツ : トリマー編

 先の雑文を書いた後に、英語の専門家が英語の学び方についてどんなことを述べているのか知りたく思い、英語学習法についての本を何冊か借りて読んでみました。

どの本もすばらしいことを書いています。特に私の気に入ったのは「私はこうして英語を征服した」著者:平田行雄(ごま書房)でした。

この著者はトロイの遺跡発掘で有名なシュリーマンのした学習法をまねて語学上達に成功した方です。 

シュリーマンという方はドイツ人で、遺跡発掘に必要な資金を作るために、得意の語学を駆使していろいろな国でビジネスをしました。外国語を独学で学習し、18カ国語も流暢に話せるようになった驚くべき語学の達人でもあったのです。

ゴールドラッシュで賑わうカリフォルニアへ出かけて行っては、一獲千金を夢見る荒くれ者を相手に両替銀行を開いて一儲けしたり、ある時は戦争している両方の国に武器を売りつけたり、死の商人みたいなことまでしているのです。

とにかく、非常にドラマチックな生き方をした人でした。

子供のころに、大酒飲みのお父さんが酔っぱらって口ずさんでいたホメロスの叙事詩が大好きで、あれは神話などではなくて、ほんとうにあったことではないかと、その歴史の真実を探ぐるために一生かけた人なのです。

 あふれる才能をもつ立派な方ですから、平凡な者には違い過ぎて参考にならない気がしますけれど、シュリーマンが外国語を学んだ方法は、だれでもやってみようと思えばできないことはない、意外とシンプルな方法だったのです。

 シュリーマンが公開した語学学習法で「七つのステップ」という心がけがあって、それによると、

1)非常にたくさんの分量を音読する

2)短文を訳してみる。

3)毎日レッスンを欠かさない。

4)興味を覚えた問題について、つねに作文を書くこと。

5)これを先生の指導のもとに直してもらう。

6) 直してもらったものを暗記する。

7) 前日直されたものを次の時間に暗唱してみせること。

ということだそうです。

 この本には、シュリーマンのシンプルな方法がどんな深い意味があり、どんな効果があるのか、また日本人の英語学習で陥りやすいミスなど、海外勤務した著者の英語体験などもまぜて、とても説得力ある文章で書かれています。

 興味のある方は実際の本を読んでみられることすすめます。

 この本を読んで私が得たレッスンは、豊富な教材や会話スクールは確かに便利なものですけど、語学学習では、これらに過度に寄り掛かってはいけないということですね。言葉の学習というのは、何かに教わることを期待するよりも、自発的に必要なものを取り込む面がより大切な気がします。 

 それからシュリーマンが多くの外国語をマスターしたのは、国際社会に対応するためとか、教養のためとか、よく分からないけど外国語を話せたら後で何かの役に立つのでは、などという理由でやっていたわけではないと思うのです。 

遺跡発掘に必要な資金をつくるために、外国人相手に商売をしてうまくやるために-- 今すぐ必要だから、失敗したら何年もの時間と費やしたエネルギーを無駄にし、目標がそれだけ遠のくだけですから、なにがなんでも成功するつもりで必死になって「事業に必要な言葉」を学んだというのが実際のところではないでしょうか。

シュリーマンにとって語学をマスターするのは目的ではなくて、その後のビジネス・資金稼ぎ、そして情熱をかけるもっと大きな別の目的があったことも、単に仕事のための手段にすぎない外国語を短期間に覚えられた、そうしなければならない理由だった気がします。

仕事で資金をつくるのにどうしても時間がかかりますから、外国の言葉を学ぶだけのために何年もかけたり、語学スクールにお任せモードではいられなかったのです。

ステップ4の「興味を覚えた問題について、つねに作文してみる」というのは、シュリーマンはビジネスマンですから、実際の仕事の場で使う会話とか、相手を説得することなど、仕事ですぐに使う必要のある英語に焦点を合わせていたのではないかと想像します。

そして、それを学習の中心に据えていた気がするのです。

 そう考えると、ステップ4、5,6、7はより意味がはっきりしてきますね。

ですから、トリマーが北米のグルーミング・サロンで働くために英語を学習するとしたら、私のやり方はそれほどこの方法からかけ離れたものではない気がするのです。

毎日グルーミングの仕事をしているわけですから、仕事場での会話ではどんなことをショップ・オーナーに言われるか、答えるかなど決まってきます。その応用といっても、トリマーならば想像できる範囲ですから、ショップで必要な会話や話題になることはいくらでも思いつくはずです。

シュリーマンが同じ立場にいるとしたら、これらを紙に英文で書いてみて、できる人に正しいかチェックしてもらい、暗唱して覚えようとしたと思うのです。

一般的な話として、toefl, toeicテストでいい点とるとか、英語検定の資格をとるために英語を学習するなどというのは、つかみ所のないとても漠然とした話です。信じたくないほどたくさんの学習と時間が必要になってきます。よほど勉強好きでないと、これだけが目的では学習意欲を持続することは容易でない気がします。また用が済めば、記憶に残らない可能性もあります。そして他に売れる実務能力(marketable skill)も持っていないのでは、これらのテストや資格で学んだ英語を実際に役に立てられる人はそれほどいないのではないでしょうか。

しかし北米のペットサロンで働くために必要な英語ならば、最初から「毎日使うための知識」にしようと思って学習しています。英語が得意でない方でも職場での英語は少し努力すればできないことはない、よく知っていることですし、学習範囲が限定されていますから、多くの方にとって手が届く目標になると思います。

そして少しづつ自分の好奇心や関心に従って話題にできる範囲を広げていったら、イヤにならずできる、興味をもって継続してゆける。また自分にとって必要な語彙や文法に習熟するだけですみますから、めったに使わなそうな難しい言い回しや単語はしいて覚える必要ありません。中学高校で習う英語でも間にあうはずですし、実際に使える語学学習にできる気がしますけど、どうでしょうか。

シュリーマンの語学学習法をまねて英語をものにし、「私はこうして英語を征服した」なんていうセリフを、いつの日か口にしてみたいものです。でも、本当に征服しなければならないのは、英語よりも、言い訳をよく思いつく自分自身なのかもしれません。

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