ホーム > 検索 > このトリマーの方達に会ってみていただけますか > トリマーになる時期・適年齢について

いくつでも素敵な人と巡り会えた時が適齢期であるように、チャンスがやってきた時がトリマーになる適齢期

 

カナダのトリマースクールにはどんな人が学んでいるのか、卒業していった人がどんな風に仕事をしているのか、少し興味をそそられることではないかと思います。個性豊かな人達が今までこのスクールにはたくさん来ましたので、その中から何人か紹介してみたいと思います。

日本のトリマースクールといったら、普通若い同じぐらいの年齢層の方がたくさんいて、若い方にとっては、みんなと話題が会って快適な気がします。

でも、それとまったく正反対の環境というのも、とても刺激的で楽しいものと思うのです。私のスクールは若い方は高校を出たばかりの方から、上の方は六十ぐらいの孫が何人もいるなどという人までさまざまな年齢層の方が来ます。

 歳を召しているからといって先輩顔をして威張る人もいない、肩書きを自慢する人もいない。志しを同じくする方ばかりですから、「歳なんか関係ない、みんなで楽しくやりましょう」という精神にあふれた方が来てくれます。

最初に紹介したい方はステラさん。

この方は3ヶ月ぐらいばかり前にレッスン終えて、現在自宅でこの仕事しています。

 スクールに来る前は薬品関係の会社で長いこと事務の仕事をしていました。歳は五十の半ば。それである日突然会社を解雇になった。

 この人がいなければ会社が困るというような仕事をしていた訳ではありませんから、いつかこの日が来ることは自分でも分っていたようです。 そしてその日が来たら、ペットグルーマーになりたいと長いこと考えていて、いつか実行に移そうと思っていたそうです。

stella.jpg

最初にスクールに来た時に、ステラさんはこんなことを言ってきたのです。

「私急がなければならないのです。いつわんちゃんをカットしてくれるのか、みんなに尋ねられるので、答えるのに困っているのです」

話を聞いてみたら、犬をカットしてほしいお客になってくれる方がすでに四十人ぐらいいて、いつ始めるのか皆待っているというのです。

このようなことを言ってきた生徒は初めてです。

いくら交友関係が広いといっても、ショップも持たず40人もお客を集めるのは簡単ではありません。それに友人や知人であるとしても、それと自分の犬のカットを頼むことは別の話です。

 思いがけなくもお客を十分集めてから急いで手に職をつける。つまり「どろぼうを捉まえてから縄をなう」の泥縄式に学ぶことになってしまったという方なのです。

会社の同僚が手伝ってくれたんですと言ってましたから、「あなたがそのような計画しているなら、犬を持っている人達に声かけてあげる」と言ってくれた会社の仲間や友達が周りに幾人もいたのだと思うのです。

この人なら責任もってしっかり仕事をしてくれると友人達にとても信頼されていたから、そして友達がまたその友達に強力に勧めてくれたから起きたことなのです。

周りの人に自分の計画を話している間に、スクールにも行ってないうちから、お客が集まってしまったのです。

実際に教えていて、こんなことが起きて不思議はない人でした。

 ステラさんはこんなことも言ってました。

「私ペットグルーマーになれてとても嬉しいんです。二十五年も勤めた会社を辞めなければならないこと、今までもらっていた給料がなくなることはとても残念だけど、でもお尻をキックされるようなこんなショックなことが起こらなかったら、ペットグルーマーになる勇気が湧いてこなかったと思う。ずっと夢みる人で私終わっていたかもしれないわ。キックしてくれた人に今では感謝してますよ」

会社をクビになって、こう言える人はそう多くはないのではないでしょうか。身に起きた不幸など忘れて100%目が前を向いているのです。

今までは苦労の多い人生だったようです。若いうちに結婚して子供が三人いて、離婚。それから女手一つで子供たちを育てた方です。そして再婚されたのですけど、男にすがって生きようとか、旦那に養ってもらおうという考えを持たなかった人です。カナダの女性はこういうタイプが多いです。

若い頃は仕事して、結婚したら仕事を辞め家庭を守り育児に専念する。これが日本では今は普通かどうか分りませんけど、多くの日本女性にとっては今でも憧れをもたれる結婚の形かもしれません。それがいいとか悪いとか社会が違いますから一概に言えないことですけど、これカナダ人の女性にはない考え方です。

 ステラさんなら、 I like keeping busy. (いくつになってもやることがあって忙しくできる方が好きなのです)などと何事もないように言います。

 そんな訳で、若くない歳になっても、やれる仕事があり自宅でできる仕事ができて、そしてこれからもずっと働けるようになって、とてもうれしいようです。

 ステラさんはきゃしゃな体つきしてますけど、とてもバイタリティのある方です。とは言っても、この歳になって新しいこと始めることは正直とてもきついはずです。レッスンではかなり疲れることもあったと思うのですけど、そういう顔をいっさい人に見せない方でした。これからやれることを考えるとうれしくてしかたがない、そんな方でした。

 日本から来た生徒の方は一般にかわいらしい小さい犬をやりたがるのですけど、この人はなんでもやりたがるのです。大型犬のジャイアント・プードルやブービエや子牛ぐらいあるアイリッシュ・ウルフハウンドでも真っ先に手を上げてやってくれます。

I love this dog, I love it! 大きな声で気合いを入れて、にこにこしながら仕事に取りかかるのです。

 今でもこんなことして仕事を始めているのかなぁなどと思ってしまいます。

 ----------------------------------------------------------

 

 [追記]

日本では普通でないかもしれませんけど、六十歳ぐらいでもレッスンを受けてペットサロンに就職された方はカナダ人で何人かいます。

Image_413203.jpg

 日本人の例としては、50の半ばで私の所でまったくのゼロから学んで、日本で獣医院にしばらく勤めた方がいます。この方が来たのは四、五年前ですから、今六十近くになっていると思うのですけど、今度ペットサロンを開店できるようになりましたと、素敵なお店の写真を添えてこの春にお手紙をいただきました。こんなすばらしい方もおられます。日本に帰ってからのことは分らなくてこの方を詳しく紹介できないのが残念です。ハンディをものともせず ”日本のこの業界の常識”をはるかに越えたことをやっている方、夢を実現させた方がいること知ってほしいです。

もう1人私のところの卒業生で50過ぎている方で、ドックランに併設してペットサロンが新たにできたところで、そこへ主任として雇われた方がいます。若い方二三人と仕事しているようですけど、若くない方がかえって都合がいい場合もあるのではないでしょうか。

仕事がある程度できて、それを生かそう、そのためならなんでもやろうという気持ちになったら、それを生かす場は歳など関係なく意外とある気がします。