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スピードグルーミング:この技術をマスターするには

 

このスピード技術すごいと思いませんか

スピードトリミングが日本では流行しているそうです。今回はこれを話題にしたいと思います。

スピードトリミングだとか、スピードグルーミングだとか、大げさな特別な呼び方をしなくても、北アメリカのぺットグルーミングはもともと限られた時間とエネルギーをいかに有効に使い、最大限のサービスと喜びをお客様に提供し、仕事上の目的を達成することができるのか、私にとっては即スピードグルーミングを意味します。

(これを口にしては日本では誤解されやすいですけど、時間もエネルギーも利益も犠牲にして、人をうならせる「いい仕事」することを優先的に考えるトリマーとは対極の考え方です)

仕事に関しては保守的な意見を持つ方が多いのに、今までなかった異質のものが流行ることは「ほんとうに?」という気もします。でも、今までのやり方と異なるものに関心が高まるというのは、従来の日本のトリミングでは解決できないさまざまな問題・不具合が仕事場で出てきていること。これは、「従来のやり方を続ける、より一層努力するだけでは、これからも何も変わらない」というトリマーの皆さんが日頃感じている危機感の現れかもしれませんね。

仕事のあり方に意識が高まってきていることですし、この仕事を報いとやり甲斐のあるキャリアにしたいと真剣に考えているトリマーなら新たな技術や、今までとは異なる仕事のやり方に関心を持つことは当然のことですし、この風潮はプロとして当然のことで、十分理解できることです。

 北アメリカのトリミングで一日十頭仕上げられるとか、仕上げの必要なふわふわの犬を洗いから仕上げまで一時間もかけないでやってしまう話を聞いて、日本式では長年経験があるトリマーでも手が早い人でもそうできる方はほとんどいない。従来からの日本式のトリミング技術では考えられないことですから、興味をそそられた方は多いのではないでしょうか。

毎日あくせく働いて一日に三頭仕上げられる人が、今までと同じ時間で十頭できるようになれたら、前にもまして頑張らなくても収入が増えることにつながります。

 それに、一日十頭できるのなら、ひょっとしたら少なくとも昼前までにはひと仕事(各自、今までの三頭か四頭の仕事)を終えて、店じまいをし、家に帰れてあとはフリーの時間としての午後と、充実したナイトライフを楽しめるのでは。こんなことを想像してみる方がいてもおかしくないです。そうなったら、ドラえもんとのび太を喜ばせる世界ですね。

 でも、これはそんなに甘い話でないことはすぐ分かると思います。

まず、この技術をマスターしたら、確かに能力的には今まで以上の仕事をやろうと思えばできるようにはなります。でも、この技術をマスターしたからと言ってお客が増えることはないです。この技術を学んだことの効果と商売が今まで以上によくなることとは別の話。つまりこの技術を身につけただけで、あなたの収入もショップの収入も増えることはありません。そうなるにはこれとは別に、今まで以上のセールス努力が必要です。

ですから、このスピードトリミングを活かせるとしたら、もともとこなしきれないぐらいのお客がいて、予約が一ヶ月も二ヶ月も先まで埋まっている。どしどし仕事してくれる優秀なトリマーさんが募集してもなかなか見つからない、そんなショップでないと、この技術がすぐに役に立つことはないし、勤めてすぐ高給につながることもないように思います。

この技術は残念ながら、あなたの仕事やビジネスの悩みの全てをすぐ解決してくれる万能薬ではありえません。

それに、一日十頭仕上げられるといっても、この技術や道具があるだけで鼻歌まじりにやって、より多くの仕事が簡単に済んでしまう、そんな夢のようなことはありません(意外とこうなることを期待している方は多いのでは)。派手なキャッチコピーは使っても、十頭仕上げるということがどれぐらい大変な仕事で集中力がいることなのかはだれも口にしない。

 

スピードトリミング は日本でますます流行るのか

ところでスピードトリミングの講習会が日本で大盛況だという話を先日知人から聞きました。

ほう、それでは一頭一時間で仕上げる人が増えて、今では北アメリカ並みに「できる人」がたくさん現れているのですかと尋ねたら、

それがそうでもないんです。

スピードトリミングには皆さんとても関心は高く、講習会を受けたり、スペシャルな道具を買ってみたりする人はたくさんいるけど、いつの間にか元の日本式トリミングに戻っている方が多いと言うのです。

そしてせっかく買った特別な道具は棚の上でほこりがうっすらと・・・。

ちょっと残念。

もしかしたら、その講習会でやり方をマスターできてスピードトリミングで仕事されている方もたくさんいるかもしれません。でも、仕事に活かせるまでにならない人の方もとても多いのはどうしてなのか少し考えてみました。

 

この素晴らしい技術を学ぶのに短期で成果を焦ってはダメ

 一言で、スピードトリミングというのは、マスターするのに時間がかかる技術であるように思います。これを習うには、日本のトリミングをいったん忘れる必要があります。トリマーの皆さんこれが分かっていない。

それともう一つ、この技術に絶大な効果があるとしても、そうなるには仕事の主役としてこの技術を使い続けられたら、というところですね。たぶん多くの方が考えてみないところは。

日本のトリマーの皆さんが考えることは、そういう講習会を受けてみて、有益な新たな技術一手二手を今までの日本式の仕事に「付け加える形で」生かせたらという気持ちの方が多いのではないでしょうか。つまり今までの日本の仕事のやり方を変えることはまったく考えていない。それは考えたくない。それはそのままで、自分に都合のいい部分だけを切り取って、従来の日本式に少し取り入れる。「いいとこ取り」を考えている方が多いのでは。

この技術は、北アメリカのペットグルーマー達が何十年もかけて、手痛い失敗や試行錯誤を繰り返して、この人たちが作り上げてきた膨大な知識と多岐にわたる技術です。技術の背後にあるリーズンがよく分かっていないのでは様々な応用は難しいです。こういうものが部分的な知識だけで、また道具をまねて使ってみるぐらいでは、日本式で長年仕事してきたトリマーでさえも期待したほどうまくゆかないはずです。

それから、北アメリカの洗い、ドライ、ブラッシング、クリッパーの技術、ハサミの技術は全部つながっている技術体系で、それぞれの作業が連携しあって、時間短縮につながるのです。一つ一つ切り離したらあまり意味がないのです。自分の気にいった技術の一部だけを切り離して、日本式にちょっとつけ加えて利用しようとすること。本来のやり方とはだいぶ異なるのに、成果だけは北アメリカの本職と同じものを期待することに、少し無理があるのです。

また、上に述べた日本のトリマーの仕事の傾向と北アメリカのペットグルーマーが仕事で関心を持ち目指していることの違いは大きいです。これで仕事の成果にだんぜん差が出てきます。テクニックも大切ですが、それは一日に多くの仕事ができる理由の一つにすぎません。

講習会で学んだ技術が、時間短縮にはつながらず、仕事が楽にもならず、この技術にあまり意味を見いだせない。だから時間がかかっても、不満があるにもかかわらず、慣れ親しんだ元の日本式トリミングに戻ってしまう。そうなるのは想像つきます。

例えば北アメリカのグルーミングでよく使われる道具・クリッパーは、日本のバリカンとはまったく別の道具と言っていいぐらい、仕事で果たす役割は違います。

これを使いこなすには、北米流の洗い、ドライ、ハサミの技術も不可欠です。クリッパーの技術だけ学んでもたいして役に立なかったはずです。クリッパーのアタッチメントなど便利だからと勧められて買ってみた方は多いと思います。だけどその前後の作業も効率的にやる知識・技術がないと仕事全体に活すまでになれなかったはずです。これで時間短縮の効果が現れず、様々な毛質の犬に応用できるまでにならず、結局あまり役には立たず、使うことを諦めてしまった方は多いと思います。

 

この技術を学ぶのに、すぐに、簡単にできてしまう近道はない

「やっぱり北アメリカの技術なんて、たいしたことない」と短絡的でネガティブな感想を持ったトリマーさんは多いのではないでしょうか。もしそうなら、残念です。でも、自分でそう思わないとすぐ効果が現れなかったことや「できない自分」や、せっかく習った技術を今使えていないことの説明がつきにくいです。

北アメリカのスピード技術を「使える技術」にするには、偏見をもたず技術の背後にある考え方・理論と基礎からじっくり学ぶこと大切です。とにかく覚えなければならないことがたくさんあります。日本式で長年やって経験があったら、北米式なんて簡単にできると皆さん思いたい気持は分かります。でも、仕事に対する考え方から違いますから、ちょっと習ってすぐにできるようになる方はたぶん例外的です。

今すぐ効果が現れる方法や「まだ知られていないとっておきの秘訣」を求めていては、一時的にちょっと良くなった気分になっても、仕事の根本的な改善にはつながりません。北アメリカの技術を使える技術にするには、この技術の基礎の積み重ねと繰り返しが必要です。

短期間で熟練の域にゆくには、たくさんの練習と的確な指導をしてくれるコーチが欠かせません。それは、スポーツでも、武道でも、ダンスでも、どんな習い事でも同じです。少し教われば、だれでもすぐに覚えられてできるようになる-----で到達できる技術は、根気、丁寧さ、習うのにまた練習に長い時間を経て獲得できる熟練技術とは少し違うように思います。

スピードトリミングにとても興味があるなら、まず従来のトリミングと決別しても、この新しい技術だから可能になる仕事とライフスタイルに、憧れる気持ちをあなたは持てますか。

続く: スピードトリミング であなたの仕事と生活はどう変わる >>

 

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