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日本のトリマーにこの三十年間に起きたこと


トリマーについてあまり話題にされることのないこと、でもこの仕事を続けてゆく上で大切と思うことで、気づいたことをいくつか書きたいと思います。特にこれからトリマーをめざす方、トリマーになったばかりの若い方へ話したいです。

現役で働いている、私ぐらい古いトリマーの方は日本では少ないと思いますから、若い方は、三十年以上前のこの業界を知っているトリマーと話す機会は、今の職場ではあまりないのではないかと思います。

日本のトリマーの世界でこの三十年の間に起きた変化で私が気づいていることは、日本のトリミング料金が三十年前の料金と比べて高くなるどころか、逆に下がっていることです。
他でも同じことが起きている業界があるのか、私は分りません。

三十年前、私が東京で仕事していたころは、トイプードルやシーツーなどのトリミング料金が五、六千円でした。それが皆さんもご存知のように、今では同じぐらいか、それよりも安くやっているところもかなりある。

店舗のレントもトリミング用品や水、光熱費なども三十年前とは比べられないほど高くなっています。トリマーに支払う給料でも30年前と同じでいいというわけにはゆきません。物価が上がってますから、それにつれて給料も上がってもらわないと、トリマーの皆さん生活するのもたいへんになります。

とにかく人件費やその他のもろもろのビジネスを維持する経費が年々増えているのに、お客様に対するチャージが実質的に下がっている。つまりショップの利益が前よりも少なくなってきているということです。
実におもしろくないと思っている方はかなりいるはずです。

一方、北米の方の昔の事情はどうだったのかお話します。
私はカナダに来て30年近くなりますけど、日本でいったら三越みたいな、大きな老舗のデパートで EATON というのがトロントの都心にありました。その中にあるペットサロンで、トイプードルなどの小さい犬種は当時$25でやってくれてました。このデパートがある地域は高級ブティークが軒を並べるトロントでは一番おしゃれなショッピング街ですから、郊外に出たらもっと安くやっていたところがほとんどだったはずです。ですから、カナダの当時のトリミング料金はこの犬種ではだいたい20ドルから25ドルが相場であったと思います。

日本で五六千円お客様にチャージしていたものが、カナダでは当時その半値以下でやっていたものです。トリミングとはこれほど価値のない仕事なのかと、こちらに来た頃がっかりしたことを今でも覚えています。

でも、それがこの三十年の間に、少しずつチャージが上がって、今ではトロントのダウンタウンで、さっきの小さい犬種のトリミング料金は最低でも60ドルはします。

まぁ、当たり前というか、健全にやってこれていると言えるのか分りません。カナダの場合は三十年かけて、カタツムリの歩みのごとくのろいけど、少しづつチャージが上がってきました。そして30年前に比べて、その当時の二倍半か三倍ぐらいの料金には現在なっているのです。

日本でどうしてそんな妙なことが起きたのか、私は説明できません。私から見たら、日本もいよいよ北アメリカ並になったのかという気にさせられます。

ペットを飼うことが昔のように特別なことやぜいたくなことでなくなり、わんちゃんの数も昔の何倍にも増えています。お客様から見たら気楽に頻繁にショップに出せるようになってきたのですから、悪いことばかりではないように思います。

それよりも、こういう事情を知らないとしても、これからトリミングの仕事が日本ではいい仕事なのかどうか皆さん少し不安になるし、気になっているはずです。

トイプードルは最低でも八千円チャージする所もありますけど、周りの相場がありますから、他よりも大幅にチャージが高ければ仕事はとれにくいです。

よそのショップよりもっと質の高い仕事をして、料金をもっと上げてみようという作戦はあまり有効ではないように思います。これでもっと時間をかけてやっているのでは、苦しくなるだけです。

チャージできる料金を思うほど上げられなくて、利益幅が小さくなくなってきて、それでもトリマーの立場でうまくやってゆくには、一日にこなす仕事量を増やすというのが私が思いつくことです。(できれば遅くまで働いたりせず)
これは、ショップオーナーだけでなく、働くトリマーの方も自分の問題として考えた方がいいことです。

この仕事をとりまく状況が昔ととても変ってきているのに、仕事のやり方も今までの価値観や技術も従来のまま同じでいいものかどうか・・・・・・・
日本ではこのようなことを問題提起する人も、話題にする人もあまりいないようですけど。
ただいい仕事をするだけでなく、一日にこなす仕事量を増やすこと、つまり早くより多くの仕事をやれることは、これからの時代必要になってくることのように思います。

こうできる人は「おもしろくない時代になったものだ」などと思ってもいないし、希望を持ってやっているはずです。

三十年前に私が東京で一頭五、六千円でやっていたころ、カナダの同業者がその半分以下の料金で仕事をしていて、しかも、その中からいくらかが給料として支払われていたわけです。
 
そんなにチャージが安くて、カナダのペットグルーマーの皆さんは生活がかなり厳しかったのではと、心配してくださる方がいるかもしれません。

私の勤めたショップのグルーマーの皆さんは週二日は休みをとりますし、雇われの身なのに、毎週週末は犬を連れて別荘で過ごすなどという人もいました。休暇は毎年長期とるし、仕事はきっちり五時に終わせて帰宅する。それでも仕事量は日本以上にこなしますから収入は悪いほどではないようでした。みなさんにこにこしながら仕事していたものです。

一頭たったの$20-25でやって、余裕たっぷりに仕事と生活やれてたのですから、今の日本で同じことが期待できないはずがありません。日本でもこの仕事はまだまだ悪くない収入をつくれて、希望をもってやれる仕事にできると私は思っています。

いい仕事ができる上に、早く、多くの仕事ができることは、これからの日本のトリマーにも求められる条件かもしれませんね。

 

 

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